家庭の温暖化対策(1)

投稿者: | 2008-04-09
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京都議定書の約束期間に入り、具体的な温暖化対策が求められるようになってきました。また、京都議定書の次の議論も本格化し、地球温暖化を気温上昇何℃でくい止めるべきなのか、2020年・2050年にどこまで削減すべきなのか、検討が進められています。
家庭部門で、どのような対策が求められているのか、ざっくぱらんに考えてみました。

家庭・業務部門で、日本政府が提唱してきたのは、「1人1日1kgの削減」や、「クールビズ」、「うちエコ」など、一人ひとりの取り組みをすすめるキャンペーンでした。関心がこれだけ高まってきたというのは評価できるところですが、どこに落としどころを作るのかが課題になってきています。
私自身、環境家計簿の活動に関わってきて、1つわかったことがあります。環境家計簿に取り組んだ人に「だれが温暖化対策に取り組むべきですか」という質問をしたことがあります。取り組む前のアンケートでは、「企業」や「政府」といった回答が多かったのに対し、取り組み後は「家庭の一人ひとり」といった回答が増えていました。自分たちで取り組めるんだ、という自発的意識が高まった面もありますが、対策が内向きになってしまい、社会全体で取り組むべきという考えが薄れてしまった傾向があるようです。
実績をあげたことに自信を持って、もっと企業や政府に積極的に働きかけをしましょうと、環境家計簿の報告会では提案をしてきました。
いまの政府の呼びかけは、こうした視点が大きく抜け落ちてしまっており、責任を個人に押しつける形になってしまっています。このままでは企業が動かずに削減が進まず、市民もいずれやる気を失ってしまう危険があります。
また、家庭の温暖化対策のノウハウが不足している面もあります。特に、個別の家庭のエネルギーの使い方に応じて提案をする手法については、まだまだ改善の余地が大きいと考えます。
世の中に情報として出回っている省エネ技術などを、一般的に積み上げてみても、家庭のCO2排出を2割削減するのは大変です。かなり出費を伴う技術を導入して、ようやく達成できる程度です。しかし一方で、コンテストなどで本気で取り組んでもらうと、特に機器導入をしなくても、3割~5割程度削減してしまう家庭も出てきます。
実際に、標準家庭の半分以下のCO2排出量で生活している人も1割弱程度いるもので、特に必要ではなくても、習慣的に使ってしまっているエネルギー消費が以外と多いことも考えられます。
家庭の対策は、家庭の自主性に任せるだけでは進みません。といっても外から強制するわけにもいきませんので、家族が具体的に温暖化対策を選択できるように、環境を整えていくことが求められます。
省エネ型機器への買い替えで省エネが達成できることは、よく宣伝がされていますが、これも販売店の説明努力や、メーカーの開発努力が大きな役割を担っています。国のトップランナー方式による性能底上げ方式は、効果をあげた政策のひとつです。部門としては家庭での削減ですが、こうした事業者・行政の協力によってこそ、達成できるものです。
問題は企業・市民など全員の活動に関わっているものですから、調停役として行政が約束事を作っていく意義は大きいでしょう。個別に見たら損になることでも、約束ごとにしてしまえば、うまくいく場合も多々あります。そんな大岡裁きを、みんなで考えていくのも面白いでしょう。

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