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エコライフ研究隊 ひのでや 第一話

  • 2009年12月16日(水) 17:58 JST
  • 投稿者:
    hinodeya-鈴木
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    2,967
コラム-鈴木
 メトロポリタンキョウトにある515階建て超高層ビルの3階に、有限会社ひのでやエコライフ研究所と名乗る会社がある。名前はちょっと変であるが、表向きはれっきとした会社である。社長ほか従業員は4名、ちゃんと社会保険をかけているし、納税義務も怠っていない。しかしそうした表向きの名前に隠されて、実は裏では巨大な秘密の任務をかかえているのである。
 その秘密とは何かといえば、・・・おっと、調子よく続けていると、つい口をすべらしてしまうところだった。冒頭から言ってしまってはいけない。秘密なのである。
「おはようございます」
朝9時、有限会社ひのでやエコライフ研究所は始業となり、次々に出社してくる。無口な従業員であるが、一応あいさつだけは交わす。ごくふつうの朝のひとときである。そのときだった。
  ジリジリリン・・
 秘密連絡電話が鳴った。従業員全員にいきなり緊張感が走った。電話を取ったのは入社まもないAであった。
「・・わかりました」
 Aは電話を置くと、見守る全員に向かって、うなずいた。そして全員が社長の顔を見た。
「出動だ」
 社長のかけごえに、全員が一斉に走り出した。

 研究所の別室には、こたつが置いてある。何の変哲もない、寝転がってみかんをたべるのが似合う、足をつっこんだら猫が伸びていてギャーと足をひっかじられて「いてえな」って言う、そして一度はいったら二度と出て来られなくなる、ごくふつうのあの「こたつ」である。しかし、実はこのこたつが異次元とをつなぐ扉となっているのである。
 秘密というのは、彼らはかの有名な「エコライフ研究隊ひのでや」のメンバーであるということである。全員が自信に満ちた顔で異次元の扉をくぐって、エネルギーフィールドへと飛び込んでいった。
 このエネルギーフィールドでは、電気やガス、二酸化炭素といったふつうは目に見えない環境負荷が目に見え、人間以外のモノたちと会話をすることができるのである。わたしたちのふだんの生活と隣り合わせの異次元、それがエネルギーフィールドであり、ここの治安を任されているが「エコライフ研究隊ひのでや」なのである。

 社長および従業員は次々に変身をしていった。戦隊もののお約束として、順番に名乗っていく。

ひ:「他人の気持ちを思いやり、自分のことは後にする。少し悲しげ、悲恋ジャー!」
の:「ちょっと一杯のつもりで飲んで、飲んでしまったら運転できない。帰りはバイクに、乗れんジャー!」
で:「宝ヶ池の子どもの楽園の迷路はちょっと難しい。いちど入ったら、出レンジャー!」
や:「しっしっ!、ついてくるなよこの野良犬。この腰のきびだんごは、やれんジャー!」
全員:「4人そろって、エコライフ研究隊、ひのでやー!」
(かっこいいテーマ曲)

で:「ところで、ひのでやって、4人だっけ?」
や:「社長と社員4人だから、あわせて5人だろ。」
で:「あとの1人は?」
ひ:「あいつは、いつも30分遅刻してくるから。いいよ、4人でやっちゃおうよ。」

???
サ:「あの、もしかしてひのでやさん?」
の:「あんただれ?」
サ:「私、先ほど電話したアルミサッシです。」
の:「アルミサッシ? あの、ガラスが入っている?」
サ:「そうです、そのアルミサッシです。見てのとうりです。」
で:「でもさ・・・、なんでそんな、っていったら失礼かもしれないけれど、建具のあんたがしゃべるの?」
サ:「だって、エネルギーフィールドって、人間以外のモノと会話ができる場所なんでしょ?」
で:「そうだけれどもさ、ふつう人間以外のっていったら、せめて動物とかにしない? 異次元なんだから、怪獣でもいいけどさ。そんな、いかにも会話が成り立ちそうなのがいいなあ。」
サ:「そんなこといったら、私の立場が・・・」
ひ:「こら、おまえらも理解が足り無いなあ。いいじゃねえか、異次元なんだし。サッシさん、ほんとにうちのもんが失礼いたしました。それで、何のご用で?」
サ:「ありがとうございます。さすがうわさどおり、モノわかりのいいひとだ。それがですね、最近、私の入っている部屋の住人から文句が来るんですよ。『寒いのはサッシのせいだ』とか、『すきまかぜがする』とかね。私もね、確かに30年やってきましたんで、いまどきの省エネ性能の高いサッシに比べたら、熱も逃げやすいでしょうし、多少はガタがきているところもあるかもしれないですよ。でもね、私がいなかったら、すきま風どころか、風がふきっさらしですよ。30年間雨風に耐えて、住人を守ってきたというのに・・・」
や:「悪者にされちまったんだな」
サ:「そう、そしていきなり『リフォームしようか』ですよ。つまり、新しいサッシにして、私を捨ててしまうっていうんですよ。」
や:「まあ、その住民も、ちゃんと気持ちをくんでやらないといけないよな。」
サ:「(グスン)すみません、なんか柄にもなく涙が・・。いえ、こんな親身になって話を聞いてもらったことが最近ないもんだから、つい。・・・年を取るとだめですねえ。」
ひ:「いいんだよ遠慮せずに。思いっきり気持ちを出すとすっきりするもんだ。まあ、あんたの言いたいことはよくわかった。新品の省エネサッシとまではいかないかもしれないが、できることを調べてみようじゃないか。なあ、みんな。」
全員:「はい。」
ひ:「ちょっと見させてもらうよ。ガラスが1枚だね、2枚の間に空気の層が入ったペアガラスなら省エネ性能が高いんだが、当時は普及していなかったしね。サッシと枠の間は・・・うーん、ちょっと隙間があるなあ。丈夫ないいアルミ枠なんだが、パッキンが少し弱っていてここもすきまができているね。」
の:「そのすきまが、すきま風の原因なんですね」
ひ:「それだけとは限らない。冬はガラス面が冷たくなっているから、ここで冷やされた空気がすきま風の原因となる場合もあるんだ。冷やされた空気は比重が重くなるから、窓を伝って降りて、床を伝って、こたつに座っているときに背中にすーっと・・」
の:「あ、すきまがなくってもすきま風ってあるんですか!」
ひ:「そういうことだ。だからガラス全体で対策をとらないといけない。」
サ:「やっぱりこのガラスじゃあだめなんですね。私はもう・・」
ひ:「そう早まるな。確かに問題はこのガラスだ。ガラスは熱を伝えやすい物質だ。しかもわずか6mm程度の厚さしかなく、家の外と中を切り分けているものだから、当然ここから熱が逃げてしまう。日本の家屋では、暖房の熱の約半分が窓やサッシなどの開口部から逃げているという推計もある。」
で:「それでどうするんです?」
ひ:「まずはカーテンだ。部屋の熱をカーテンでいったん遮断することで、少しは暖かく感じるのは確かだが、実はすきま風などには効果は少ない。」
で:「だめじゃないですか。」
ひ:「そこで登場するのがプチプチシートだ。」
や:「あの荷物の緩衝材として使っている?」
ひ:「そうだ。」
で:「あのプチプチつぶして遊ぶ?」
ひ:「そうだ。」
の:「回転寿司で出てくるあの食感がプチプチした?」
ひ:「それはいくらだ。いくらがシートになったら、つぶした時に大変じゃないか。」
や:「隊長、何をわからないボケをしているんですか!」
ひ:「すまない。ホームセンターにいくと、窓用の断熱材として1枚1000円程度で売られている。窓に貼り付けるときにも、霧吹きで水をかけるだけでくっつく。」
で:「水だけでくっついているんですか。」
ひ:「そう、たいていひと冬はもつ。もし通常の緩衝材を買ってきた場合には、プチプチの小さい袋が出ている面を内側にして両面テープで2枚貼り付けて使う。こうすると、断熱性能もあがり、霧吹きだけで張れる。」
サ:「あのー。でもこれ貼り付けちゃうと庭が見えなくなっちゃうんですが。」
ひ:「それはがまんしてくれ。」
サ:「え?」
ひ:「雪国で雪に閉ざされているってことを考えたら、まだ明かりが入るだけましってもんよ。」
サ:「それは、かんべんしてくださいよ。他ならいいんですが、うちの庭はかなり手入れをしているんですから。」
ひ:「もし本格的にやるんだったらリフォームという手もある。」
サ:「え?やっぱり私はお払い箱なんですか?」
ひ:「違う、サッシの内側に、もう1つサッシをつけるのだ。『内窓』という工法なのだが、マンションもふくめてたいていの家でこうした工事をすることができる。窓が二重になるぶん、熱も逃げにくくなるし、防音効果も大きい。」
サ:「私は使ってもらえると!」
ひ:「そうだ。まあ、おまえに子どもができたようなもんだな。おまえの内側に、新しいサッシができるんだ。そのサッシもふくめて、雨風から守ってやるのが、おまえの役割だ。」
サ:「そうですか、こんな私にも子どもが。この年になってからですか。いやあ恥ずかしいですね。」
ひ:「通常のサッシの取り替えにくらべて、費用も安いし、手間もかからない。ぜひ住人に提案してやってくれ。」
の:「よかったな、アルミサッシ。」
サ:「ありがとうございます。これで私も自信がわいてきました。まだまだ現役で、がんばりますよ。ほんとに、ありがとうございました。」
全員:「たっしゃでなあ。」


???
ひ:「それじゃあ問題も解決したことだし、例のエンディングのポーズいってみようか。」
全員:「はい!」

ひ:「ひとつひとつを」
の:「のばしたりせず」
で:「できることから」
や:「やってみよう」
全員:「4人そろって、エコライフ研究隊、ひのでやー!」
(かっこいいエンディングテーマ曲)

(うーん決まったな、と満足げな隊長「ひ」。そこへ遅れて出勤してきた社員E。)
E:「おはようございます。あれ、何みんなで遊んでいるんですか、ほら仕事、仕事。」
・・・次回に続く

この物語はフィクションです。実在の人物・研究所とはあまり関係がありません。

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