電気温水器を使うと、他の給湯器に比べて、環境負荷が極端に大きくなります。同じ量のお湯を使ったとしても、ガスの給湯器に比べておよそ2倍の二酸化炭素が出てきます。これは、火力発電所等で電気に変換するときに、石油や石炭の持っているエネルギーの6割が捨てられ、わずか4割しか電気に変換されないという効率の悪さが関係しています。電気をそのまま熱として使うのは、もったいない方法です。
2001年より販売が開始されたエコキュートは、同じように電気でお湯を沸かす装置ですが、外気の熱を活用してお湯を沸かす仕組みになっており、もともと電気が持っているエネルギーの3〜4倍程度のお湯を沸かすことができます。年間平均の効率(APF)でも3倍以上の値がカタログに掲載されています。
理論上はガス給湯器よりも二酸化炭素排出量が少なくなりますが、ガス給湯器をエコキュートに置き換える場合には、お湯の使い方によっては、逆に二酸化炭素排出量が増えてしまう場合もあります。ご注意下さい。
最近オール電化の宣伝が多くなっていますが、もしオール電化にするのなら、少なくともエコキュートを組み合わせてみてください。電気温水器は確実に環境負荷を増やしますので、決して設置しないでください。
また、旧式の電気温水器を使っている場合には、エコキュートに切り替えることは、おすすめです。
電気温水器をエコキュートに置き換えると、電気の消費量は3分の1になります。(ガスからエコキュートに変えた場合ではありません)
電気の削減(kWh) | 光熱費の削減(円) | 二酸化炭素排出量の削減(kg) | |
1ヶ月の削減 | 360 | 3,240 | 198 |
1年の削減 | 4,320 | 38,880 | 2,376 |
訂正:1ヶ月の削減を1年の削減としていました。(090505)
エコキュートの価格は、電気温水器に比べて高く、およそ60〜80万円程度します。ただし設置費用に対して国の補助金が出ます(2010年9月まで)ので、工務店等に尋ねてみてください。また、地方自治体でも補助をしている例があります(環境ビジネス.jp: http://www.kankyo-business.jp/subsidy/ecocute_index.html)。
ガス給湯器を使用している場合には、より環境負荷の小さい機器として、E63 給湯器を潜熱回収型の給湯器に置き換えるいった取り組みもあります。ガスを使用している家庭がエコキュートに替えても、必ずしも環境負荷が削減できるわけではありません。
なお、エコキュートを導入した場合には、エコキュート独特の省エネの工夫があります。エコキュートは前日の夜に、次の日のお湯の消費を予測してお湯をわかします。もしお湯を作りすぎると保温時に熱が逃げてしまい、無駄が多くなってしまいます。逆にいえば、使う分だけお湯をわかすことができれば、効率がよくなります。
エコキュートの設定ではお湯をわかすモードがいくつか設定できます。基本的には自動的に行いますが、その中でも「おまかせ」「省エネ」「たっぷり」など、メーカーによってどの程度余裕を持たせるのかでモードが設定できます。あと個別に設定ができる場合には、沸き上げ温度も低め(最低は65℃、設定の最高は90℃)にすることで省エネになります。
また、エコキュートでは風呂の「追い炊き」をすると沸き上げ温度が80℃以上となってしまい、効率が大きく低下する傾向がみられます。お風呂が冷めてしまったときには、「追い炊き」ではなく、「注ぎ湯」で温めるようにすると省エネになるようです。特に「自動追い炊き」はロスが大きくなります。
値段が高いので、まずはホームページやメーカーなどからパンフレットなどを取り寄せ、メーカーや工務店の比較検討をしてみてください。
すでに電気温水器を導入している家庭におすすめです。
ガスや灯油の給湯器が導入されている家庭の場合には、エコキュートにすることで光熱費が削減されることは確かですが、場合によっては環境負荷を低減できない場合もあります。ご注意下さい。むしろE63 給湯器を潜熱回収型の給湯器に置き換える方法やE07 太陽熱温水器を設置して利用するほうが効果的になる場合があります。特に、家庭でのお湯の使い方が少ない場合(例えば2人世帯、夏場などにシャワーだけですませる世帯、毎日お風呂をためない世帯など)には、環境負荷が大きくなる傾向にあり、おすすめできません。
家族人数が多く、毎日確実にお湯に入る(必要のある)家庭におすすめです。
以下は、家庭の省エネ診断で使っているロジックです。
評価対象外
計算方法A
電気温水器を導入している家庭は、電気温水器からエコキュートに置き換えた場合の削減効果。その他の場合には、現在の温水器からエコキュートに置き換えた場合の削減効果を示す。
エコキュートの効率としてはカタログ上は300〜460%の設定がされているが、これは熱交換機の出力である。また最高温度(90℃)での効率とはなっていない。貯湯タンクロスを10%見込んで270%とした。
計算方法B
貯湯タンクの熱ロスを、1日(24時間)あたり5℃温度低下として、給湯負荷に加える。効率としてはAPF(通年効率)を使用。