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暖かく過ごすための試行錯誤:1エアコンの風

コラム-鈴木

京都の冬 京都の冬は底冷えがする寒いところです。もともと断熱ができている家が少ないこともあり、北海道から来た人はほぼ間違いなく、「北海道より寒い」と言います。日本海側ほどではありませんが、日中も曇りがちで気温もあまり上がりません。おなじ近畿ですが、大阪まで出ると暖かい日差しが照っており、太陽のありがたく感じることがよくあります。1200年以上の昔から続く寒い生活を、今なお肌で感じることができる、素敵な町です。

 弊社が入っている4階建ての建物も、築40年を超えていることもあり、断熱たぶんなく、窓は単板ガラスです。いまどき複層ガラスや断熱はあたりまえとなり、しっかり断熱された建物は冷暖房消費も少なく健康にもプラスだと、講演では繰り返し言っているのですが、紺屋の白袴ですね。

 社会全体で断熱化を進めていく方向が間違いないとしても、当面は同じような寒い事務所・住宅で過ごしている方が多いでしょう。そんな方と同じ目線に立って、どんな工夫ができるか、試行錯誤を続けた記録を書き綴っていきたいと思います。すべての人が、化石燃料に頼らずとも、暖かく冬を過ごせる、そんな時代が来ることを願って。

 

執筆予定

1)エアコンの風が床まで届かない?

2)なんでもいいから窓を断熱せよ!

3)すきま風はもったいない

4)足元を温める

5)体を温める

 試行錯誤中のものもありますが、順次掲載していきます。


 

エアコンの風が床まで届かない?

 弊社の事務所は、4階建ての建物の3階にある8畳間で、机を並べて6人が作業をしています。もともと仕事場兼住宅だったところで、半分がお茶室として使われていたようです。

 もともとついていた30年以上前と思われるガスエアコンを、省エネ型エアコンに交換したところ、そのエアコンのパワーに圧倒されました。しっかり暖かい空気がでてくるし、送風も強力です。これで冬を安心して過ごせると思っていたところ、早速問題が発生しました。床がなかなか暖まらないのです。

 エアコンを暖房で使うときのポイントは、強風でしっかり床まで暖気を送ってあげることです。暖かい空気は軽いために自然と天井に上がってきますので、床まで風で送ってあげる必要があるのです。部屋の逆側でサーキュレータを上向きにして、部屋全体の空気を循環させてあげると、より効果的になります。

エアコン強風シミュレーション

エアコン弱風

室内をエアコンで暖房したときのシミュレーション結果(温度断面:赤が暖かく、青が冷たい)。左が強風、右が弱風の場合。強風では床まで暖気が届いているのに対し、弱風では天井を伝ってゆっくり広がる。8畳間2.8kWエアコン、外気温5℃、初期室温10℃、20分後の状態。室内空気の流れ計算 http://www.hinodeya-ecolife.com/test/cfd2015/index.phpでシミュレーション。

 ところが教科書通りにはいかず、立ち上げてしばらくは、エアコン正面の机の上は30℃程度の熱風が届くのに、床下の温度は12℃程度と、快適ではない暖房から会社の朝が始まるのでした。

 原因は2つありました。ひとつは、エアコンの吹き出しが真下ではなく、やや斜め前に出ており、その風下の位置には机が並んでいるという状態でした。狭い部屋に机を押し込んでいるために、床が少ないのです。このため、机の上面を伝って暖気が広がり、机の下にはまったく暖気が流れないことになったのです。多少暖気が流れてきたとしても、机の下は風通しが悪く、引き出しなど冷え切ったものがたくさん置いてあるために、ここが温まるまでに午前中いっぱいかかります。家庭でもエアコンの下に、テーブルや家具があったりすると、同じように床まで届かないことが考えられます。

 もう一つは、エアコンから送り出される暖気の温度が高いため、いくら強風で下向きに送り出しても、途中で力尽きて上昇してしまうようです。部屋の温度が10℃、吹き出しが40℃とすると、空気の比重は1割も違ってきます。これはちょうど食用油と水の比重の違いに近いくらいです。部屋が暖まっている状態であれば、少しの風でも床まで届くのでしょうが、冷え切ったところから暖めるのには、一工夫必要なようです。

試行錯誤1)風の向きを横にする

 ともかくエアコン正面と真下の人は、頭が熱風にさらされるので、非常に不快になります。そこでエアコンの送風を上向きにして、快適性を求めてみました。天井に向けて暖気を送っても、サーキュレータなどで風を起こすことで、徐々に暖気を下に降ろしてくることができます。幸いなことに、上の階にも仲間のNPO事務所があり、天井を暖めることは、上の階の床暖房として活用してもらえるので、有効活用ともいえなくはありません。 

 弱風シミュレーションの結果をみると、天井を伝わって、部屋の反対側から吹き下ろし、徐々に天井から暖まる様子も伺えます(反対側の床付近が10℃から14℃まで上昇している)。上下の温度差は出てきますが、自然な流れではあるので、この流れを活用して循環させるのもいいのかもしれません。

試行錯誤2)一時的なパワフルモード

  エアコンのリモコンをみると、「パワフルモード」というものがありました。これで強風で一気にあたためて、後ほど考えようという魂胆です。けれども、風量も温度もパワフルであるものの、風向きが変わらないために、机の上にさらに熱風が届くこととなり、現在は封印されています。

試行錯誤3)風の誘導エアコン風ガイド

  別の扇風機を使って風を循環させてもみたのですが、エアコンの送風のパワフルさにはかないません。ならばと、エアコンの風の向きを床まで誘導してあげることを考えてみました。

 写真は年度代わりで古紙回収に出す予定としていたカレンダーをのれん状にして、風を真下に送るようにしたものです。買ったばかりのエアコンにテープでベタベタするのも勇気がいるのですが、養生テープならあと残りもしにくく、遠慮なくすることができます。

 これでようやく床まで風が届く状態となり、あとは扇風機やサーキュレータの力を借りて、床下に風を這わせるようにしてみました。床面の暖まりも早く、正面に座る人の顔に熱風が直撃しなくなったことも、大きなメリットです。

 注意点は、リモコンの受信場所やセンサーを隠さないこと、そして古い送風が弱いエアコンでは風が途中で力尽きてしまうことがある点です。

 暖房でエアコンを使うのであれば、なるべく床の近くから暖気がでると理想的です。工務店の中には、エアコンを床下に設置して、暖気を送る設計をするところもあります。中国では、1.5m程度のポール型のエアコンを床に設置して使うタイプが販売されており、これならファンヒーターのように暖気が直接感じられるはずです。

 ともかく、部屋があたたまるまでは、エアコンも苦労が多いです。一度部屋が暖まると、エアコンは消費電力を大幅に落としながら、温度を維持してくれます。立ち上げさえどうにか工夫できれば、エアコンは省エネかつ快適な暖房になります。

 

機器の提案

  • エアコンの上下風向の範囲:今回のエアコンは、風の上下方向の変更が直下ができず、20°ほど斜めが限界でした。メーカーさんには、真下まで狙えるようにしてもらえると、効果的かと思います。
  • 床吹出しダクト:エアコンを床に置き直すことは大変な困難を伴うので、せめてダクトとファンを使って、床まで暖気を届けて、そこから床を這わせられるようにしたら暖かいでしょう。ちょうどファンヒータが床から暖気をだしてくれるように。折りたたみ式で、暖房をつけ始める時だけ30分動かすってのはどうでしょう? ファンとしては扇風機を活用してもいいかもしれません。
  • シーリングファン:ゆっくり回って風速も遅い感じがしますが、扇風機やエアコンと違って風を送る「太さ」が違うために、力強く床まで風を送ってくれます。その分消費電力も多いのですけれどもね。風をあまり感じずに暖かく過ごせる点では、有効です。

使い方の提案

  • 暖気の通り道:机や家具などをどけて、エアコンを下向きに送風したときの、風を通り道を用意してあげることが有効です。ただでさえ力尽きてふわふわと上昇してしまう暖気です。障害物があっては、余計簡単に力尽きてしまいます。補助をするために、扇風機やファンを活用しましょう。
  • 床の温度:エアコンで床面まで暖めることは困難であり、あまり期待してはいけません。断熱シートやカーペットなどを使ったり、家庭の場合にはこたつやホットカーペットの併用もいいでしょう。オフィスでも足元を暖かくする工夫(別報告予定)を考えて、省エネしてみてください。

 

 

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